今回紹介するのはマンガ『風の谷のナウシカ』
宮崎アニメで個人的に一番好きな話のマンガ版です。
宮崎アニメとの出会いはこの映画でした。初めて見た時の衝撃は、今でも鮮明に覚えています。
映画の話はマンガ版の2巻までで、ストーリーには続きがあることは知っていて内容が気になりながらもそのままになっていた作品です。
自分でマンガの電子化(自炊)ができるようになり、保管場所を気にする必要がなくなったので、読みたかった古いマンガを手に入れてどんどん電子化しています。
電子化したマンガはクラウドに入れてiPhone や iPad でいつでも読めるようにしてあります。
なので、ある意味しっかり保存版となっています。
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『風の谷のナウシカ』
宮崎 駿著
戦争によって地球環境が汚染され、科学技術も失われて、人類は厳しい自然環境と戦いながら生きているという設定とその環境を描写した絵は当時ものすごくインパクトがありました。
特に蟲たちと腐海という自然環境。
そのグロテスクさと対比するかのような可愛らしい外見のヒロイン、ナウシカ。しかし強く、内面は信念に満ちとても優しい。
そしてナウシカの乗り物、メーヴェ。風に乗り空を飛ぶ姿は白い鳥。
青い服を着てこの白いメーヴェに乗っているナウシカは、伝承にある大地との絆を取り戻す青き衣の者になぞらえていきます。
映画版では、王蟲の風の谷への暴走を止めたところでお話が終わっていましたが、マンガ版はそこからも人間の争いは止まず、王蟲や粘菌などの腐海を利用した争いに発展していき、結果、世界は腐海に飲み込まれていきます。
しかし、そのおろかさによって腐海や王蟲などの生態系のさらなる真実が明らかになっていきます。
- 汚染された世界で生きるためにすべての生物と生態系自体が何者かによって作り変えられていた。
- 王蟲も含めて腐海は世界を浄化する役割で作られたものだった。
- 浄化後にもう一度失わた生態系を再生するために種の保存をしていた。
- その事実を隠して種の保存を続けるために歴代の王を利用してきた。
難しく入り組んだ
このさらなる真実がマンガ版の見どころです。
生きることは絶望なのか?希望なのか?
ナウシカは世界の真実に迫っていきながら、あらゆる立場の人を結びつけていきます。
どんどん希望がなくなっていく中で、生態系自体を作り変えての再生を計画した者との最後の対決のとき、ナウシカが行き着くのはこのセリフ!
「ちがう いのちは闇の中にまたたく光だ!!」
希望か絶望かという二極分化して希望だけを残そうとしたことをナウシカは否定して、浄化後の予定調和的再生の種を破壊します。
清浄の世界を誰よりも望んだナウシカだけど、その清浄の地に汚染された自分たちは住めない。
この事実を知ってなお、そこに向かって今を生きるだけ。
命を信じて絶望しないナウシカは圧巻です。
失望にとらわれて力を無くしているときに読むと、気付け薬のようにジワーッと効く、壮大な物語です。
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