今回紹介するのは、ビジネス書。
仕事をしていた若い頃よりも子育てをするようになってからの方がビジネス書をたくさん読むようになりました。分野にこだわらずに乱読すると、思わぬヒントが得られたものです。
「人ってなんだろう?」という興味にも繋がっていきました。
ビジネスって結局、人育て。
人をどのように導くか
その目的が経済活動なのか日常生活の自立か
目的の違いはあっても着地点は人というものを理解することに繋がっています。
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プロフェッショナルは「ストーリー」で伝える
アネット・シモンズ著 池田 千秋訳
この本で伝えているのは、ビジネスシーンでの人を動かすための語り方です。
ストーリーを使って感情を動かし、人を動かして状況を変える方法が書かれています。
人を動かすとき、論理的な説得や命令によって動かそうとしても、心から納得して自ら動くことにはならないことが指摘されています。それどころか、密かに邪魔されたり対立を生んで膠着状態に陥り、物事が頓挫することにもなりかねない例が紹介されていました。
ストーリーを使って伝えることによって
「人々を説得してやる気を与え、鼓舞できる。」
人を動かすテクニックとしてストーリーを用いる効用は、
勝者と敗者を生み出さないので、物事を白か黒かで二分しない発想が生まれ、共存共栄の関係を作り出すことができる。
ウィンウィンの結末が待っているわけです。
キング牧師など、歴史を動かした名スピーチには確かにストーリーがありました。
人の心を動かすストーリーを語れたら、もっと思いを伝えることができる!
どうやったら、それができるのだろう?
知りたくなって読み進みました。
人を動かすための6つのストーリー
人を動かすために必要なストーリーは、6つあると本書ではいっています。
- 「私は何者か」というストーリー
- 「私はなぜこの場にいるのか」というストーリー
- ビジョンを伝えるストーリー
- スキルを教えるストーリー
- 価値観を具体化するストーリー
- 「あなたの言いたいことはわかっている」というストーリー
この中の1と2を正直に語ることによって、話し手を信用してもらうことができ、やっと話を聞いてもらう下準備ができます。
3で、どうしたいと思っていて、4でそのためにはどんなことをやればいいのか具体化させ、5で反論に答える。
その結果、自ら行動を決めてもらうことができるように導くのが人を動かすストーリーの役割です。
こうして書くと味気なく感じますが
具体的な体験を感情を交えて情景が思い浮かぶように語っていくことで、ストーリーに本物の輝きを加えることができます。
本物の感情にこそ人は動かされるのだとわかります。
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偽物には人を動かす力はない
この本を読み進めていくと、ストーリーで人を動かすことは小手先のテクニックではないということがわかってきます。
本当に人を動かすものは、型どおりのお話をつくって上手に話すことよりも
話し手の感情を伴った経験に裏打ちされたその生き様です。
話し手の感情を追体験させるためにストーリーの力を使うのです。
偽物の感情は、結局はバレます。
そして、ストーリーを語るときに相手への尊重がなければ思いは伝わらず、決して理解を得ることはできないともありました。
最初はストーリーテリングというスキルの本かと思って手に取りましたが、
ストーリーテリングはスキルというよりも生き方ともいえるというのが、読後の率直な感想です。
分厚くて、読むのにハードルが高そうですが
小手先の技術で人を動かしたいと思っているけれど、うまくいかないと思っている人はぜひ手にとってみて欲しいです。
近道はないとわかってがっかりしてしまうかもしれないけれど、本質を垣間見ることができると思います。
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