今回紹介するのは、行動経済学の本です。
行動経済学というのは、かなり端折って言うと
「どうしてその行動を取るのか?」という疑問に対して、条件を与えて検証しその理由を見つけていくことです。
行動の理由を解明するものなので、モノを売るためにも利用される分野です。
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予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」
ダン・アリエリー著
子育てがそろそろ一段落しそうな昨今、反省点をあげればきりがありませんが、試行錯誤だけはたくさんしていました。(笑)
自分の常識が通用せず、どうだったらいいのかを自問自答しながら日々を暮らしていました。
そして難しかったのが
習慣化するということです。
「どうしたら良い習慣をつけることができるのか?」
これは、今でも私の課題であり続けています。
そんな思いを持っている私にとって
「どうして、その行動をとるのか?」を解明していく行動経済学というのはかなり面白いものでした。
また本書の中では
行動の理由についての疑問を検証するために様々な実験をしているので、具体例が豊富で、難しい課題を身近な問題として捉えることができます。
不合理な判断を招いてしまう理由には、知っていれば避けられることもたくさんあって、望んでいる結果を得るために利用できそうです。
不合理な判断を招いてしまう理由
いくつかの選択肢からの選択の際、判断に影響を与えるものには、こんなものがあります。
誰もが陥ってしまう、脳の特徴ともいえるものです。
- 相対性
比較対象するものがあるとそちらに気をとられてしまう。 - 刷り込み = 習慣化
最初の決断がその後の基準となってしまう。行動が合理的に見えるように正当化する - 失うことへの恐怖
可能性を失うことへの恐怖は根強く、かわりに得るものがあってもそれに気づけないことがある。 - 感情のパワーの影響は大きく、それを甘く見すぎている。
- 所有意識 = 愛着
すでに持っているものに惚れ込んでしまい、失うことを恐れてしまう。手をかけたものに執着してしまう。 - 自分の感覚を過信する
他の人も自分と同じように考えると思い込む。
取引の際、自分はいいところを見るが、他人は悪いところを見るということに気づけない - 先入観
経験の前に知識を与えられると期待と予測が働き、判断に影響を与える - 暗示の力 = 思い込み
信念と条件づけが確信と慣れによる予測の力を生み、それが暗示の効果を発揮する。 - 社会規範と市場規範の対立
ルールの違う二つの場がある。社会性などの信頼関係を基準とした社会規範が優勢な場とビジネス関係などの対等な利益が規則となる市場規範の場。
お金が意識にあがったとたんにその場は市場規範が支配する。 - 不信の輪
公共の利益と個人の利益、長期的利益と短期的利益、二つの競合する人間の利害の対立。不信は感染する。少数の裏切者が全体の利益を害する。 - 品性 ちょっとしたごまかし=不正行為
体内の正直監視モニターは小さな違反行為の場合、超自我が眠ったままで目を覚まさまい。 - 現金の力
現金を直接扱わない取引では自分を不正直な人間だと思うことなく不正直になれる。 - 独自性欲求と帰属意識(人と違うものを選ぶか、同じものを選ぶか)
人が食べ物を選ぶときの基準には自分が最も楽しめることの他にも、仲間に好感を持たれるように自分を表現するという目的がある。
これらの特徴による不合理な判断が招く結果
これらの特徴は以下のような結果を招く。
- 比較の連鎖にはまって、もっともっとが止まらなくなる。
- 最初の決断が長期の習慣につながりやすく、選択の見直しがしにくくなる。
- 無料の品物は失うことへの恐れがないので、無料に過剰に反応してしまい、欲しかったものと違う買い物をしてしまう。
- 一時の感情の高ぶりで選択してしまい、本当に必要な長期的に有効なものが選べない。
- 感情が高ぶっているときに運転すると、乱暴な運転をしてしまう。
- 家族的な集まりで、お金を払うと申し出ると人間関係を損なう
- 事前の専門知識が十分でない場合、衣装や回りの反応などの社会的合図を探して反応する。
- 高い薬はよく効く
- うその広告を出したり、詐欺を企てたり、協力しない人を見ると、全体の信用が低下し同じように行動し始める。
- 規模の小さいごまかしは罪悪感が小さいため、起こりやすい。
- 仮想通貨やポイントなどの現金ではない取引では、罪悪感が小さく不正がおこりやすい。
- 仲間との食事の際、自分が本当に望むものを注文できないことが起こる。
習慣化についていえば
- 目先の満足のために長期目標を諦めてしまう。
- 長期目標のためになる喜ばしくない行動を回避する。
などの先延ばしの問題を生み、ダイエットや禁煙など、悪い習慣をやめて、良い習慣をつけることへの最大の敵にもなります。
そして、これらの特徴を持つことに無意識でいると
広告など、これらの特徴を利用して作られたものに簡単に影響を受けて、しかも自分が合理的に選んだと考えてしまう。
これらの結果
「不合理な同じ行動を繰り返す。」
ということになります。
自分の望んでいる結果を得たいと思ったら、これらを意識して逆に利用できる方法を考えるのが得策と言えそうです。
不合理な判断を避けて望んでいる結果を得るためにできること
目の錯覚や刷り込み、感情のパワーや所有意識、先入観など自分の判断にフィルターがかかっていることを意識することが最初にできることになります。
そしてこの本では、その結果を踏まえて
「では、どうしたらいいのか?」
を考えて対策を提案するところまで話が進んでいます。
以下、それぞれに対する対策です。
-
- 相対性
比較の輪を小さくして相対性の連鎖を断つ - 刷り込み
昔の選択の見直し。かつて合理的であったとしても今も合理的とは限らない - 失うことへの恐怖
失うことへの恐怖から、価値のない可能性の扉を開けておくことに時間を取られるエネルギー漏れをなくすために扉を閉じる決断をする。決断しないことによる悪影響を考える。 - 感情のパワー
誘惑に打ち勝つことを考えるより、誘惑を避けるほうがたやすいので、誘惑を避けることに力を注ぐ。行動に移す前にインターバルを入れる。 - 所有意識・自分の感覚を過信する
取引の際、自分と品物との間に距離を置いて非所有者のように考える。所有物を過大評価する傾向を自覚して他人の助言や意見に耳を傾ける - 先入観
否定的な予測の影響は期待しなければ防げる。肯定的な予測は物事をもっと楽しませてくれるものなので利用する。 - 暗示の力
暗示の力はプラセボ効果(思い込むことで実際に効果があがる)を働かせることができる。心が身体をコントロールする驚くべき方法 - 社会規範と市場規範の対立
社会規範が適用されていた場面に不用意に市場規範を導入すると、もとにもどそうと思っても道徳心や信頼感は簡単には戻らない。安易に市場規範を適用しない。逆に市場規範の場に社会規範を適用しようとするなら裏切った場合は致命的となることを覚悟する必要がある。どちらを適用するか最初からよく考える必要がある。 - 品性 ちょっとしたごまかし=不正行為
誘惑の瞬間に何らかの道徳基準に思いを巡らせることができれば、かなりの確率で防ぐことができる - 現金の力
代用貨幣と不正の傾向の関連に気づき自覚する。 - 独自性欲求と帰属意識(人と違うものを選ぶか、同じものを選ぶか)
自分が心から満足できるものを選ぶためには、人の意見に影響を受ける前に決断してそれを変えない。
まとめ
できることは、自分の判断に影響を与える力があることを理解して、慎重に判断することになるのですが、
もうひとつ、仕組みを考えて導入したり、科学技術の力を借りるという方法があるということが指摘されていました。私にとっては
仕組みを考えたり、科学技術を利用するという方法が魅力的な解決法に思えてなりません。
「どんな仕組みを考えるのか?」
これこそが、ロボットにはできない人間ならではの想像力が問われれる分野だと思うからです。
子育てにも教育にも家事にも仕事にも
うまくいく仕組みを考えて、試し続けることができれば、解決の糸口が見つかる気がします。
私の試行錯誤の新しい視点となった『予想どおりに不合理』ぜひ手に取ってみてください。
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- 相対性
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