今回紹介するのは『不安をなくす技術』です。
歯車がかみ合わず、どうにも行動が止まってしまう自分を励ますつもりで手に取りました。
結果、ビンゴでした。
行動を応援する内容になっていました。
『不安をなくす技術』
嶋津 良智著
不安をなくす技術をひとことでいうと
「不安の正体を見つめ、行動によって消す。」ということになると思います、
不安という漠然としたものの正体を見つめること、そして放置しない。
なかでもこれは、と思ったのが
「不安と心配の違い」です。
不安と心配は違う
まずは意味の違いから。
「心配する」とはいうけれど、「不安する」とは言いません。
心配は主体的です。「誰が何をどのようにするのか」という行動を伴います。
対して、不安はモヤモヤしていて実態がないような感じです。だから行動には結びつかない。
不安を心配のレベルにまで分解するのがひとつの対処法になります。
不安 = 非生産的
心配 = 主体的・生産的
そして、心配を解消するために自分ができる行動を起こしていくわけです。
不安なときにとる2種類の行動
行動といっても不安なときに取る行動には2種類あります。
- 不安から逃げる行動 = 気晴らしの行動
- 不安に向き合う行動 = 生産的な行動
このふたつの違いをきちんをわかっておいて、生産的な行動を選ぶようにすることで現実的に不安がなくなっていくのですね。
この生産的な行動は、今までと違うことをするわけですからブレーキがかかります。
不安を放置しない。という姿勢で1歩を踏み出すことがカギになると思えました。
上手に心配する技術
この本では、不安が心配のレベルになったといえるのは、どう対処したらいいのかある程度わかる状態をいいます。
不安をきちんと心配に変えて、対処するための心配する技術もとてもわかりやすいものでした。
- 不安から心配へと問題をプロセスに分解する
- 事と人を分ける
- コントロールできる心配に注目する
- 解決できることとできないことを見極める
- 方向性は大きく、行動は小さく
- 優先順位をつける
行動を続ける技術~ゴールまで見通すこと~
行動は心配事が完了するまで続けることが必要ですが、行動を続けられる鍵はゴールまでの見通しをつけること。
目的をはっきりさせてゴールまで見通すことができれば途中経過がわかりやすく行動が続けやすくなります。
先を見通せないときは、紙に書き出すといいようです。
そして、ゴールから逆算して計画を立てる。
迷ったときはどうしたらいいの?
途中で迷ってしまったときは、行動が止まってしまいます。
そんなときはどうしたらいいのでしょう?
迷いをなくす技術と称して迷いと向き合うコツが紹介されています。
迷いをなくす技術
- 非生産的な迷いを避ける
- 迷い方のルールをつくる
- プロセスイメージを持つ
- 迷ったら、最悪を考える
- イエローラインを超えたときの行動を用意する
- 悲観主義で準備し、楽観主義で行動する
迷いは、リスク回避につながっていることもあるので無理に行動することだけがよいわけではなく、
コツはリスク管理をしっかりとやって自分のできる範囲をしっかりカバーして、自分の及ばない部分は楽観的に手放していくことです。
両極端な馬鹿ポジティブと馬鹿ネガティブ
適切に行動していくには、考え方が偏りすぎていないか振り返ってみる必要があります。
馬鹿ポジティブ :リスクを考えずに自分の都合の良いことだけを考えて行動すること
馬鹿ネガティブ :リスクだけを考えて、行動しないこと
あるあるですね。私は体調が悪いと普段では考えられないネガティブに陥ることがあるので「馬鹿ネガティブ」という言葉を覚えておきたいと思います。
行動できない馬鹿ネガティブから脱出する方法は、自分の手に追える部分だけにフォーカスして小さな行動を始めることです。
そのためにも、冷静に不安の正体に向き合う技術はぜひ身につけたいスキルです。
不安とのつきあい方
不安を分解して行動によって解消しても、不安は次々に湧いてきます。
残念ながら不安はなくなるものではないのです。
だから、上手に付き合う。
定期的に心のホコリをを書き出して仕分ける
次々にわいてくる不安をそのままにしているといつの間にか溜まっていきます。
そこで、定期的に心にたまった不安というホコリを掃除する必要があります。
まずは、書き出す。
そして書き出したホコリを仕分けます。
目に見えないものを書き出すことで、よりはっきりさせて、冷静に対策を立てるために仕分けます。
不安を対応別に分ける
まずは、対応別です。
- 手を打てば解決するホコリ
- 少し時間をかけて考えるホコリ
- 自分ではどうすることもできないホコリ
そして、仕分けたホコリは、それぞれ違った対応をします。
3つのホコリへの対応
- なるべく早く行動をおこす。
- 期限を区切って考える、このホコリと付き合うのは苦しいが苦しさを内側に貯めることが人としての成長になる。
- あまり考えないようにして意識の底に沈めておく
仕分けて、対策を決めておくことで落ち着くことができるように思えます。
自分ではどうすることもできないホコリなのに気づかずにとらわれて苦しんでいる場合に仕分けることで冷静さを取り戻せると思えました。
不安の種類分け~きれいさっぱり捨ててしまうべき不安の種類~
書き出した不安は次に種類分けします。
分類の基準は、「自分と関係あるか」どうかです。基準は4つ
- 自分の心配
- 他人の心配
- 自分と誰かで共有する心配
- そのいずれでもない心配
この心配のうち1と2以外の心配はきれいさっぱり捨ててしまう。
アドラー心理学でいう「課題の分離」ですね。
以下、著者はこう言っています。
他人のことを心配しないなんて冷たい人間だと思うかもしれません。
しかし、それはあなたが自分をよく見せたいために、かっこうをつけているだけかもしれません。
私に言わせれば、そもそも自分のマネジメントができていない人が、人をマネジメントできるはずがありません。
心の余裕があるなら、他人の心配に向き合ってもよいでしょうが「大きなお世話」という言葉があるように、いくら心配したからといって、相手の状況が改善されるわけでもないことがよくあります。
確かに感情的に心配になるのはわかります。何かをしてあげたいと思う気持ちも理解できます。それを否定しているわけではありません。
今は「ぞわぞわ」している自分の心を少しでも軽くすることが先ですから、他人の心配は捨ててしまいましょう。
いい格好しいの自分を見透かされたような気分です。
特に母親には子離れを促す言葉にも聞こえます。自分のマネジメントができているか。できていないならそれを対策していくのにとても有効な考え方だと思います。自分では気づけないので、誰かにはっきりと言葉にしてもらうことで今までは違った不安との向き合い方ができるような気がします。
不安と距離をおく
不安との向き合い方のひとつで距離をおくという方法があります。
自分の力で解消することができない不安はなんとかしようとすればするほど、苦しくなる。
だって、無理なんですから。
そんな不安との付き合い方のコツは
- 不安と3センチの隙間をつくる
- 不安に名前をつけて、客観視する
- 完璧主義に陥らず、「7できた。残り3をどうするか」を考えて、ときにはあきらめる。
客観視、これがコツですね。
完璧主義もものの見方の柔軟性を奪っているひとつだったんですね。真面目すぎるのも考えもの(笑)
現代社会は不安体質になりやすい~情報に意識的になる~
現代社会はインターネットが普及したことによって、刺激的で不必要な情報がどんどん入って来ます。
刺激は快楽なので、刺激の量もどんどんエスカレートして増えていきます。
結果、不必要な情報に近づきすぎたことで、余計な不安をあおってしまう。
そして、その不安に苦しんでいる。
なんだか残念なループが見えます。
このループを切るには自分で意識的に情報を選べたらいいのですが、情報量も広告量も半端ないので強固な意思が必要です。
誘惑に負けない意思なんて一般人は持ち合わせていません。
なので、現実的にできる対応は誘惑に近づかないようにするしかなさそう。
「誘惑に近づかないこと」は大事な情報リテラシーのひとつだと思います。
煽られている自分を意識することでも、冷静さを取り戻すきっかけにはできそう。
不安をなくす技術の正体
不安をなくす技術の正体は
無意識にすごしていると不安定になってしまう現代という時代に「自分の心をどうマネジメントしていくか」ということです。
変化していくことが「安定」である。という新しい認識を提案しています。
「自分はどうしたいのか。」
周りの声に邪魔されずに自分の心の声が聞こえるような時間を取ること、
自分をマネジメントする技術を高めることが不安をなくす技術であると気づかせてくれた1冊です。
「もっと自分を大切にしたくなりました。」
自分をマネジメントしたいと思う人にもおすすめの本です。
ぜひ、手にとってみてください。
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