今回紹介するのは理系漫画です。テーマは電子工作です。
主人公は電子工作好きな女子大生。この主人公ちょっと変わっていて発想がとにかくユニークなんです。
なので作るものが面白おかしい!
子どもが工業高校に通っていて、文化祭でのモノ作りを垣間見て興味が湧いていたこともあり、思わず電子書籍で4冊一気買いしてしまいました。
『ハルロック』
西餅 著
ちょっとした興味から読んでみたこのマンガ、予想以上でした。
あまりに面白くて、誰かとこのマンガの話がしたかったので、工業高校に通っている次男に半ば無理やり読ませてしまいました。
ただ、このタイトルの意味が分からなかったのですが、子どもに指摘されて納得しました。
登場人物の晴(はる)ちゃん、幼なじみの六佑(ろくすけ)君の名前をもじって『ハルロック』だったんですね。
ハルロックのおもしろさは発想力豊かな発明の数々
私がハマったこのマンガの面白さは発明の発想が自由なところ。
「こんなのできないかなあ。」という身近な疑問や問題に「こんなだったら、おもしろい。」という自由な発想をして、それを現実にするために電子工作で色々と作るわけです。
もちろん、うまくいくものばかりではなくて、その失敗がまたおもしろおかしいのです。
目のつけどころがおかしくてひとりで読みながら声を出して笑ってしまったものもありました。
本当にできるのかどうかは別問題として、とにかくやってみることを楽しんでいるんです。
後半に入っていくと、発明と社会問題の解決が結びついていって、
誰もが楽しくて損しない。みんなが win win になっていくのが良かったです。
《発明例》
- 人生残り時間カウンターつきタイマー
- 相槌を打つクマ(バグで三途の川チラ見せマシーンと化す)
- ゴキブリがいることがわかるマシーン(捕まえることはできないのでイライラ倍増)
- ボッチザLED(ツイッターでぼっちをツイートした人の割合が世界地図にランプで点灯)
- 無駄な時間を人生に占める時間に換算する計測器(美容にかける時間は無駄か?という議論から生まれた)
- ネガティブ脳波に反応してお金を強制的に寄付するマシーン(脳波計を使って何か作ってみたかった)
- 猫ツイッター(お留守番中の猫の動きに合わせて猫アカウントが自動ツイートする)ハルちゃんの心にスイッチを入れた作品、販売することになる!
- ひとりバッティング練習マシーン
- 好きなものを探すツール(心拍数の変化に合わせて変化させたものの写真を自動で撮る。ロクくんの興味を探すために作成)
- ドキドキしてはいけない肝試し(心拍数に応じて発動する仕掛けが増減する)
- ひったくり犯捕獲バッグ(ブザーをちぎると発動するトラップ付きのバッグ)
- ヤンキー対抗ブザー(ヤンキーに絡まれてドキドキすると心拍数の合わせてメエメエとやぎの鳴き声が鳴る)ロク君の心にスイッチを入れた作品
- 猫お尻振りマシーン(電動ねこじゃらしを作るつもりだった)
- リモコンお返事システム(リモコンを呼ぶと返事をする)
- 揺れると光るLEDネックレス(ロク君の学校の学園祭に女子を呼んだ作品)
- 運動しないと開かない食料棚(友達のダイエットに協力)発明が商品になるかも?と初めて思えた作品
- おならバンク(おならでポイントをためてごほうびをもらう)
- 偽装アナウンスカー装置(ロク君たちがカンニング用に作るがバレる)
- お風呂掃除ロボ(マグネットで壁と天井にもくっつき掃除できるというもの、法人化後の実用化第1号)
- 放置自転車利用のスマホ充電ステーション(自治体に採用され、ハルの卒論のテーマにもなる)
- ゴキシュポ(ゴキブリの捕獲までできる機械、実用化第2号)
- プライバシー侵害うす型体重計(風呂マットの下にこっそりしいて、乗ったら体重を読み上げる)
発明をしていくごとに、ハルちゃんもロク君も自分のまわりの人たちが喜んでくれることが自分の喜びとなり、企画すること、作ることが楽しくなって毎日の暮らしが楽しくなっていきます。周りの人に自分が影響を与えることができるというのは、大きな喜びになるということが描かれています。
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ハルちゃんの世界観「ジャンク品は再生するんだよ!」
私にはこのマンガの中でとても印象的な場面があります。
ハルちゃんとロク君が天才小学生のウニ君と3人でジャンク屋さんに買い物に言った帰りの一場面です。
ロク君は昔は神童と呼ばれるような子どもだったのですが、高校生になったその頃は工業高校(理系がダメなのに電子工作をするハルちゃんを理解したくて入ってしまった)で最下位の成績で、自分のことをアホと呼んでいます。そして電子工作をするハルちゃんに自分も分解されたいという妄想を持っています。(マンガの設定です)
そんなロク君とハルちゃんのやり取りです。
ロク:「昔と比べたら落差もひどいし、俺はもう終わっちゃったんだと思う。」
ハル:「ジャンク品ってさ、一見完全に終わってるようでも部品を取り出してまた新しい使い方ができたりするんだよ。再生するの。また。」
ロク:「それって俺がジャンク品ってこと?」
ハル:「そう!」
ロク:「ちょっとわからないんだけど俺がジャンク品だとすると何をしたら再生するの?」
ハル:「オーバーホール…..かな。」
ロク:「…という事は俺をぶ分解するって話だよね。」
ハル:「えーとうーんとあれ?違うな…。アッ電脳化の時代がくれば外付けHDD的なものでアホでも何とかなるんじゃない?」
ロク:「じゃあ電脳化の時代まで長生きすれば何とかなるって事?」
*ちなみにマンガではこのふたりの会話にウニ君の無言のツッコミがビシバシ入っています。
一切遠慮がないハルちゃんと素直でアホな受け答えをするロク君への一般人的なツッコミです。
「ジャンク品は再生するんだよ。」
このひとことには、ハルちゃんの(作者の?)世界観を感じました。自分の外の世界をどう見ているのかという価値観です。
「ひとつの用途で使えなくても、別の場面や用途でなら生かさせる!活躍の場はひとつではないということです。」
ロク君は、ひたすら理屈で理解しようとするあまりに要領よく物事をこなしていくタイプではないけれど、じっくり考えることには特化しているので実はアイディアが豊富なんです。
人ってみんなジャンク品なのかもしれないですね。ハルちゃん自身もかなりの変わった感性の持ち主で、それはやばいでしょ!という場面もたくさんあります。が、その人にはない感性が思いもつかないアイディアとなって現実の世界を少し変えていく。
「アイディアが形になることが楽しい!」ハルちゃんのやる気の源はコレなんです。
自分を活かせる場を探すことが、幸せへの道筋なのかも。
「自分のやる気の源ってなんだろうな。~。」
なんてことを思いつつ、
新しい視点をくれた「ハルロック」を楽しみました。4巻で完結なのでお気軽に読んでみてください。
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