今回紹介するのは、片づけ本
『片づけられない親のための幸せの生前整理』です。
足が少し不自由になった親の家を片づけたくて、その方法を探していて手にとった本です。
少し前に読んだ『ミニマリスト、親の家を片づける』では、片付けようと思っている親との片づけだったので、「片づけなくていい。」と言っている親にはどう切り出すのか知りたかったのです。この本の中では幸せにつながった生前整理の実例にふれることができ、片づけの目的を再確認する結果になりました。
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『片づけられない親のための幸せの生前整理』
辰巳 渚著
著者の辰巳さんは2000年に出版したベストセラー『捨てる技術』の著者です。
まだ片づけ=収納方法で、捨てることが一般的ではなかった頃で当時としては新しい内容でした。
私もこの著書のことは知っていたので、今回の本でも「どんどん捨てましょう。」という内容かと思ったのですが、ちょっと違いました。
親世代と子世代の歩み寄り方についてもしっかりと1章が割かれていました。
親世代(70代)は私達よりも更に、新しいモノを手に入れてきたこと=人生 という感じなので、捨てることが難しいようです。そんな片づけを避けたがる親世代をその気にさせる言葉のかけ方について具体例が挙げられていました。
コツは、反論でもなく、説得でもなく、話を聞くことです。
以下が、親のいいそうな言葉と子の応え方です。
親のいいそうなセリフと子の応え方
親のセリフ 子の応え方の例 自分たちには関係ない 自分たちには関係ないと思うのね 片付けはできていると思うんだけど 私は「〇〇」が気になっているの 今のままでも大丈夫 そうか、たしかに不都合はないものね 自分たちでできる、自分たちの考えがある 私にできることがあったら、言って 子どもに迷惑はかけたくない 私は、迷惑なんて思ってないよ わかってる、いつかやるから わかってくれてるなら、いいわ 私がいなくなったら全部捨てて 全部捨ててしまっていいのね? 全部必要なもの 本当に全部必要? まだ使えるいつか使う、もったいない 好きじゃないものもあるんじゃない。 思い出がある そうね、どれも思い出があるね。 忙しい、今は都合が悪い じゃあ、都合がいいときを教えて 出典:『片づけられない親のための幸せの生前整理』 辰巳 渚著
片づけの実例として紹介されていた、
親が何一つ捨てるのを嫌がって、リフォーム自体をあきらめる寸前だった現場での辰巳さんと片づけたがらない親とのやり取りの話は、とても興味深いものでした。
辰巳さんは、捨てましょうとか、片づけましょうとは一言も言わずに2日間ひたすら親のモノを確認しながら話を聞いていただけだったのでした。
その後、その方は自分から捨て始めたそうです。結果リフォームも大成功。
北風と太陽のようですね。人は自分で気づいたことなら実行に移せるので、子どものやることは親の気づきをうながすこと。
そのための、応答例なんですね。
こうやって、親が片づける気になったらやっと片づけの開始になります。
モノを整理する手順~前準備~
モノを整理するには実際の片づけ作業に入る前に踏む手順があります。
前準備です。
- 現状の把握
片付けたい場所の写真を撮ってプリントアウト、全体だけでなく、扉の中、テーブル周辺などクローズアップ写真も - 片づける場所と範囲を決める
何のために片付けたいのかをはっきりさせることで、どこを片づけるか決める。
例:安全のため、足元の不用物を片づける。コンロの周りの不用品を片づけるなど。 - 何をいつまでにやるのか決める
・捨てる・残すを分けてモノを減らす。
・収納場所を掃除してキレイにするまで
・収納グッズ・インテリアまで整える。
など、どんな作業をいつまでにやるのか期限と作業範囲をはっきり決めます
この前準備をすることで、親も子も安心して取り組めると思います。
暮らしながらやる片づけは家事と同様、どこまでやるかを決めておかないと、際限がなくなったり、結局片づけられなかったり、失敗が目に見えます。
暮らしを楽にするための片づけなので、ちゃんと完了させたいですものね。
モノの片づけ作業手順
実際の作業は、一般的に言われているものとほとんど同じです。
- モノを全部出す
- 捨てる・残す・わからないに分ける
- わからないモノをどうするか決める
- 残すモノをもとに戻す
- 捨てるモノを家から追い出す
片づける場所があらかじめ決まっているからこそ、安心して全部出すことができます。
箱を3つ用意して、全てのモノを分けて行きます。このとき問題になるのはわからないモノです。このわからないモノは、「捨てればいいとわかっているけれど捨てたくないから判断できない・したくないモノ」つまり「捨てても大丈夫なモノ」なので、再度捨てるか残すか検討。残すものは整理整頓はしないで、そのまま戻します。いるいらないの判断は心に負担がかかるので整理整頓は後日にまわす。捨てるモノはどのように捨てるのか検討して目立つ場所に置く。
このように、順を追って作業していきます。
確かに分ける作業は精神的に疲れるので、整理整頓は別の日にやる。というのは大いに賛成です。
年末に片づけと大掃除を同時にやると、どっと疲れて夕飯を作る気力が残りません。何を食べるか考える気力が残ってないといった方が正確ですね。
親世代が片づけを先送りしたがるのは、わける作業が疲れるというのも大きいと思います。
だからこそ、辰巳さんは親子が一緒に片づけるのを薦めています。
大掛かりな片付けにはお金がかかる~自分も少しずつやっておこう~
辰巳さんが仕事で片づけに携わった経験からの言葉です。
突発的に起きる親のモノの片づけによって、親子が不幸な関係になったり、子どもが大変な思いをしたりすることがないように生前整理は「しておいたほうがいい」だけではなくて「しないと困ること」だと思います。
出典」『片づけられない親のための幸せの生前整理』 辰巳 渚著
家一軒をいっぺんに片づけると30~40万円かかるそうです。この本が2013年初版なので、今ならもっとかかるかもしれません。
ミニマリストのやまぐちさんの広大な親の家の片づけでは、150万円かかったとか。
この金額を知ると
「親の家もだけど、自分の家も色々と捨てておかなくては!」と本を読みながら洋服や使わなくなった布団を捨てました。
私が溜め込んでしまうのは、本や紙の書類です。
私が残して子どもを一番困らせるのはきっと本の山だと思うので、最近では本は極力電子書籍を買うようにしています。それでもやっぱり好きなので少しずつ増えてしまいます。
定期的に本の整理をしなくてはなあ。と考えさせれました。
あとは、思い出という感情がくっついた、使わないけれど捨てられないモノの扱いを決めなければと思います。
逆に考えれば「思い出」がちゃんと整理できれば、よけいなモノは手放せるのかもしれないな。とふと感じました。
モノを持たないミニマリスト達が潔いのは、「自分の思いが定まっている」から。その軸に合わせてモノを選べるので、自分にとって不用なモノがわかり、結果スッキリした暮らしができるのだろうな。
自分の家にある、使っていないのに、とってあるモノの特徴を考えると自分の傾向がわかります。
私の場合は、「悔いを残したこと」にまつわるモノが手放しにくいです。
「やろうと思ってやったけど、ちゃんとできなかった。」
これは、今を生きていない状態です。
過去にとらわれてます。
「これからの暮らしをどうするか?」
これに真剣に向き合って、それに合わせて持ち物を整えることが、この本でいうところの
「幸せの生前整理」なんだと思います。
親が子を守る側から、子が親を守る側にまわる節目を幸せなものにできるかどうか。
片づけはそのひとつのきっかけになるのかもしれません。
親の家の片づけだけでなく、自分の棚卸しにもなりそうな生前整理。
親子関係を見直すきっかけにできそうな内容の1冊です。
ぜひ、手にとってみてください。
『片づけられない親のための幸せの生前整理』辰巳 渚著【amazon】
親の家の片づけを考えている方はこちらの記事もあわせてどうぞ
また、違った視点をもらえます。
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