今回紹介するのは『嫌われる勇気』の続編です。
『幸せになる勇気』
岸見 一郎 古賀 史健著
今回のテーマは教育です。
アドラーを知ってから青年は教師となっていました。
教師となり、実際の生徒たちとの交流の中で青年は悩み、再び哲人を訪ねるところから物語は始まります。
その疑問を哲人にぶつけます。
今回も激しい議論が交わされます。
子育て真っ最中の私にとっては、身につまされるような場面も。
アドラーの思想は、またひとつの解決策を提示してくれます。
かなり、厳しい解決策です。
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この本と私の出会い
この本を知ったのは電車の中の書籍案内広告です。
前回の『嫌われる勇気』が良かったので、今回は立ち読みせずに書店でサッと購入しました。
今回のテーマは教育
満たされない思いを持ちながら、それを振り切るように目の前の子育てに取り組んで来た私には、教育は大きなテーマです。
反抗期にさしかかっている子供との交流に、自問自答しながら過ごしてきた今年1年の自分にもひとつの答えをくれました。
子育ては、理想と現実のギャップに直面しながらも目の前の選択をしつづける毎日です。
それがアドラーの理想を教育現場という現実の場面で実践しようとして、思い通りにいかない思いを抱える青年の姿に重なりました。
出口はどこにあるのか?
哲人と青年の対話の先にあるものは?
一気に読み終えました。
読後の感想
前作の『嫌われる勇気』では、
本当の自由を手に入れるための勇気とはどんなものかについての対話でしたが、
今回は教育と自立についての対話が繰り広げられました。
教育の目的
アドラーの考える教育の目的は自立であり、教育者の役割は自立を援助することです。
課題の分離によって、本人の課題に自らが取り組めるように勇気づけていくのが教育者の役割で、他人の課題に介入してはいけません。
これは、子育てにそっくりだと思いました。
子育ての最終目的も子供自身の自立です。
親はついつい子供と自分を同一化してしまい、子供本人の課題にあれこれ、口出ししてしまいがちです。
今年は子供が受験生だったので、勉強に取り掛からない子供にずいぶん口出ししてしまいました。(笑)
こんな状態の中、自ら取り組めるように勇気づける。というのは具体的にどうすることなのだろう?
自分で考えてもよくわかりませんでした。
アドラーの考える援助とは、「まず尊敬から始める。」
尊敬とは、ありのままのその人を見ることであり、その人がその人であることに価値を置くこと。
「あなたはあなたのままでいいのだ。特別である必要はない。あなたがあなたであることはそれだけで価値があるのだ。」
尊敬を通じ、そう伝えることによって子どもたちはくじかれた勇気を取り戻し、自立の階段を登り始める。
その際に実際に何をやるかというと
「ほめたり、叱ったり。」という賞罰の上下関係ではなく
「関心事に注目し、共感を寄せていく。」という横の関係を築くこと。
これは、子供の頃の私が欲しかったものでした。
裁判官のような承認よりも、「ただ尊重されたかった。」
これを求めて、心がさまよってしまっていたのです。
しかし現実には親になった私もまた
「ほめたり、叱ったり」して子供をコントロールしています。
アドラーによるとその目的は、
子供の自立を恐れて、支配するため。
親自身の保身のためだというのです。
厳しい内容です。しかし残念ながら当たっているかも。
学校生活で失敗の連続だった子供の姿に誰よりも傷ついていたのは、実は私だったのかも。
更なる失敗を受け止め続ける勇気が足りてない。だから、介入してしまう。
私自身にこそ、勇気づけが必要そうです。
アドラーの考える精神的自立とは、
他者からの承認によって自らの価値を決定するのではなく、自分の価値を自ら承認していくことである。
そして、子供の自立を助ける態度とは
子供たちの決断を尊重し、その決断を援助する。
そしていつでも援助する用意があることを伝えて、近すぎない、援助ができる距離から見守る。
そうすればたとえ失敗に終わっても
子供たちは「自分の人生は自分で選ぶことができる。」ということを学ぶことができる。
現実と比べてみると、全くできていません。
子供以前に自分自身が自立できてないことを、思い知らされます。
アドラーは、真実をグリグリえぐってくるので痛いです。
話の聞き方~第3の視点~
そしてもう1つ、日頃から疑問に思っていた堂々巡り論に対してのひとつの答えが!
議論が堂々巡りになってしまうのは、3つ目の視点が欠けているから。
- 悪いあの人
- かわいそうな私
- これからどうするか
「これから、どうするか。」この視点で物事を見ることができれば、今ここから未来を作っていける。
それにしても逃げることを許さないですね。
う~ん。真実は厳しい。
人生のタスク
そして、アドラーの定義する
人生のタスクは3つあります。
- 仕事のタスク
- 交流のタスク
- 愛のタスク
具体的に言うとこういうことです。
仕事は「仲間たちと成し遂げる課題」
交友は「共同体感覚を呼び覚ます課題」
愛は「ふたりで成し遂げる課題」
中でも神でも動物でもない人間の愛は
意思の力によって築き上げられるもの。自分から先に信じること。
本当に勇気がいることのオンパレードです。
アドラーは常識といわれていることへのアンチテーゼなので、
触れられたくないところをえぐられる気分になって、キツイと感じる人も多いのではないかと思います。
しかし、
今の閉塞感や虚無感の理由が知りたいと思っている人には、
何かしらのヒントがみつかるかもしれません。
与えられる子供のライフスタイルから、自ら与える大人のライフスタイルへと
人生を再選択してみよう思う人はぜひ手にとってみてください。
アドラーについてもっと知ってみたい方は前作も一緒にどうぞ。
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