最初の子どもに発達についての不安がみつかったとき、身近に相談できる人がいませんでした。当時は今のようにインターネットで何でも調べられる時代ではなかったので、情報は自分の足で探すしかありませんでした。
そこで、自分にできることを探しに何件も本屋さんへ行きました。
古本屋さんにもです。
そこでみつけたのがこの本でした。
『クシュラの奇跡』-140冊の絵本との日々
重い障害を持って生まれた少女とその家族の記録です。
絵本をきっかけにして、家族の愛と勇気に支えられ、自分の世界を広げて奇跡と呼べるような成長をするクシュラという少女の記録です。
お話ではなく、記録。
クシュラの祖母の論文がベースになっているからです。
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世界を知るのに絵本が大きな役割を果たせるという事実
重い障害を抱える少女が人生のほんの初期に、世界を知る窓として絵本と出会います。
一晩中目を覚ましている具合の悪い赤ちゃんとの長い時間を紛らす手段として、偶然始めた絵本の読み聞かせが子どもの脳を育て、心を育て、興味関心を育てて幸せな人間にと育っていく様子は感動的でした。
他の赤ちゃんと同じような外界との接触ができない障害があっても、大人が常に支えの手となり続け、絵本という媒体を通して世界を知っていき、その愛と献身を受けた子どもは世界を信頼して意欲に溢れた子どもに育っていく奇跡の実話です。
クシュラの忍耐と努力は、もちろんすごいと思うのですが、両親や親戚たちが一致団結してクシュラを支え続けたことが何よりも心を打ちました。私にとっては他人事ではなかったのです。
当時、自分の子どもも定形発達ではないことがわかってきた頃で、不安で心がグラグラしていました。
この本を読んで、絵本という代替方法があるということを知って希望を感じたのと同時に
「私にここまでできるだろうか?」という不安も感じたのを思い出します。
そして、家族や親族の惜しみない協力体制がうらやましかったのを覚えています。
しかし「うらやんでいても何も変わらない!自分にできることをしよう。」
こう思い、1歳半検診で言葉の遅れを指摘されていた子どもと一緒に図書館通いを始めて、たくさんの絵本を読み聞かせました。私も本が好きだったので図書館通いはとても楽しいものになりました。他にも朝夕の散歩と午前中の外遊びとできるだけ多くの刺激を与えるような生活をおくるようにしました。
その結果、息子は幼稚園に入る前には本をスラスラと読むようになり、認知や言葉の面では十分に発達が進んだのでした。
絵本は言葉を育て、言葉は思考を育てるということを身をもって体験したわけです。
しかし、ここで言葉が追いついてしまったがためにホッとして安心してしまい、手と目の協調運動の遅れに気づいて対応してあげることが遅れてしまったのは残念なことでした。
子どもを育てるということは、長期戦です。
時に疲れて逃げ出したくなることもあります。
そんなとき、本は私にとっても救いになってくれました。
ひとりでも楽しめるし、本の中の世界で心を遊ばせることでちょっとしたすきま時間で息抜きしました。
本の楽しみを知っていて、本当に良かったと思います。
人生を豊かにする本の力を体感できる本です。
子どもの発達に悩む親御さんも一読の価値がありますよ。
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