安心して間違えられる場所が欲しい!『教室はまちがうところだ』 で黒歴史を引き継がない

今回紹介するのは、絵本です。
もともとは、詩だったものに絵がついて絵本の形になったものです。

『教室はまちがうところだ』
蒔田 晋治作 長谷川 知子絵

この本を手に取ると、ある先生の言葉を思い出します。
発達障害があってみんなと同じようにできないことの多い息子に、教室での居場所を作ってくれた先生でした。

「教室がずるい人だけが得をしない安全な場所になると、子供は安心して学びに集中し始めるのです。教室くらいはそうありたいですね。」

こんなような内容だったと思います。

私は嬉しくて、その先生が大好きになりました。
子供に戻ってその先生のクラスに入りたい!と思ったのを懐かしく思い出します。

この絵本の中の教室は
間違いを指摘されて矯正される裁判所ではなく、心温まるみんなの居場所になっています。

子供の頃、こんな居場所があったらな~。と思います。
詩がとてもいいので、全文を紹介します。
 

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教室はまちがうところだ~詩全文~

『教室はまちがうところだ』

教室はまちがうところだ、
みんなどしどし手を上げて
まちがった意見を いおうじゃない
まちがった答えを いおうじゃないか

まちがうことをおそれちゃいけない
まちがったものをワラッちゃいけない
まちがった意見を まちがった答えを
ああじゃないか こうじゃないかと
みんなで出し合い 言い合うなかでだんだん
ほんとのものを 見つけていくのだ
そうしてみんなで伸びていくのだ

いつも正しくまちがいのない
答えをしなくちゃならんと思って
そういうとこだと思っているから
まちがうことがこわくてこわくて
手も上げられないで小さくなって
黙りこくって時間がすぎる

しかたがないから先生だけが
勝手にしゃべって生徒はうわのそら
それじゃあちっとも伸びてはいけない

神様でさえまちがう世の中
ましてこれから人間になろうと
しているぼくらがまちがったって
なにがおかしいあたりまえじゃないか

うつむきうつむき
そうっと上げた手 はじめて上げた手
先生がさした
どきりと胸が大きく鳴って
どっきどっきと体が燃えて
立ったとたんに忘れてしまった
なんだかぼそぼそしゃべったけれども
なにを言ったかちんぷんかんぷん
私はことりと座ってしまった

体がすうっと涼しくなって
ああ言やあよかった こう言やあよかった
あとでいいこと浮かんでくるのに

それでいいのだ いくどもいくども
おんなじことをくりかえすうちに
それからだんだんどきりがやんで
言いたいことが言えてくるのだ

はじめからうまいこと 言えるはずないんだ
はじめから答えがあたるはずないんだ

なんどもなんども言ってるうちに
まちがううちに
言いたいことの半分くらいは
どうやらこうやら言えてくるのだ
そうしてたまには答えも当たる

まちがいだらけの僕らの教室
おそれちゃいけない ワラッちゃいけない
安心して手を上げ
安心してまちがえや

まちがったってワラッたり
ばかにしたりおこったり
そんなものはおりゃあせん

まちがったって誰かがよ
なおしてくれるし教えてくれる
困ったときには先生が
ない知恵しぼって教えるで
そんな教室つくろうやあ

おまえへんだと言われたって
あんたちがうと言われたって
そう思うだからしょうがない

だれかがかりにもワラッたら
まちがうことがなぜわるい
まちがってることわかればよ
人が言おうが言うまいが
おらあ自分であらためる
わからなけりゃあそのかわり
だれが言おうがこづこうが
おらあ根性まげねえだ

そんな教室つくろうやあ

出典:『教室はまちがうところだ』

****************

今思いだす教室での黒記憶!

これを読んで中学の社会の時間を思い出しました。
授業参観でした。思いっきり間違った答えを言いました。自信をもって。
笑われました。答えが「ブタ」だったので、結構大爆笑でした。
それからしばらくは、からかわれました。
そして、当然発言は、しばらくやめました。

今思い出しても当時のイヤな気分がよみがってきます。

間違いを笑われる子どもの気持ち。とっても分かります。
しかし、分かっていたはずなのに
自分の子どもには間違うと指摘してしまいます。
さも、正しいことがすべてに優先されるがごとく。(何様だ~!)

ダメ出しされるとわかってたら、そもそも意見を言う勇気がでませんよね。
子ども時代の黒歴史です。

 

自分の黒歴史を次世代に引き継がないために

結局、安心ってこういうことなのかもしれません。居場所があること。
ものさしの尺度をちょっとずらして考えるといいのかもしれませんね。
正しさ優先から、学ぶこと優先へ。
学ぶことってつまり間違いに気付くことです。
間違えるためにはまず、やってみなければ何も始まりません。

間違いを強く指摘され続けたら、やってみる勇気が奪われて
何もやらない方がマシ。という意識が生まれるのは当然でしょう。

大人になるほどに、やってみるのにかなり勇気を出さないとできなくなっている自分を感じます。

しかし、イヤな気分を味わった黒歴史があるからこそ、
子供の世代には挑戦する勇気を持っていけるように応援できる大人になりたいものです。

忘れていた安心感を思い出したくなったら手にとってみてください。
絵も力強くてとてもいいですよ。

 

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